卵とじ





いつだったか不毛な恋だって、笑いながら言っていた過去の自分に言ってやりたい。そんなことないよ、あんたはちゃんと、好きな人と一緒にいるよぉって。

私が香港を好きになったきっかけは本当に単純で。
最初はノリが良くて面白くて、ギャル男っぽかったから声を掛けてた。けど、話していくうちに私のコンプレックスを、ひとつひとつ解きほぐしていくような言葉をくれて、外面ばっかりが変に目立つ私を笑わないで、内面も見てくれた。化粧をしなくても良い、って言ってくれた。それから少しずつ気になって、完全に落ちたのは星人に二人して襲われた時。相手は何しでかすかわかんない、こっわい存在なのにあいつは、星人が子どもで、泣いてるからって理由で一切傷つけようとしないで、優しくしてた。——もう、好きになるしかないよねぇ。ああ、この人の特別になりたい、この人に好きになって貰いたいって一心で、好きを告げ続けた。

何度か、諦めようともした。
でも、その度に香港があんまりにも眩しく笑うから、好きな気持ちが一層強くなって、諦められなくなった。今は、心からほんとに思う、——諦めなくて良かった、って。香港に、好きになって貰えて、本当によかった。

私は飽きっぽいけど、香港となら、きっとずっと一緒に笑っていられる。だってこんなに好きなんだもん。こんなに好きだって思える人にこれから先、会えるわけがない。私の全部は香港のものだよ——だからさぁ、早く、攫って。大好き。