部屋とYシャツと私


 



ねえ一氏さん、私あなたのことが本当に、本当に、本当に好きで好きで好きで、仕方ないんですよ。でもこんなこと、改めて言わなくたって、一氏さんはきっとご存知ですよね。一氏さんは私のことなら、なーんだってお見通しなんですもん。

私は早く大人になりたくて、いつだって背伸びをしていました。
一氏さんがお酒を飲めるのが羨ましくて、ずるくて。一氏さんが忙しそうに大学生やってるのが寂しくて、悲しくて。一氏さんと私の間にある年齢っていう小さな溝が、恨めしくて仕方なかったです。あなたと私を阻むものなんて、消えて無くなっちゃえばいいのに。そうやってずっと思って、ずっとあなたに恋をしてきました。
そんな風に考えていたから、私、ハロウィンの時にあんなこと言ったんです——、一氏さんがいつも、私の一歩、二歩先を前に歩いているような気がしていたから。

でも、全然そんなこと無かったんですよね。
一氏さんはいつも、いつだって、私の隣を歩いてくれていて、ちょっと早歩きしちゃったときは必ず振り返って迎えに来てくれていて。それにやっと気付けたときは、本当に嬉しかったです。もう、私にはあなたしかいないって思いました。

ちょっと意地悪な性格が好き。可愛い関西弁の言葉遣いが好き。私の頭を撫でてくれる大きな手が好き。一氏さんの全部が、大好き。

ここを離れても消えることのない恋心は、私の胸に取っておきますから、いつか会えたときに私の胸から奪っていってくださいねえ。小春さんには、負けませんから。