月灯りふんわり落ちてくる夜



俺がどれくらい美和子ちゃんを好きかと問われれば。それはきっと一生の時間をかけて考えても答えることができないだろう。それくらいに、好き。――どうしてだろう、俺はなんで美和子ちゃんじゃないと駄目なんだろうね?それも、俺には答えることができない問題ののひとつだ。俺たちはきっと、どのカップルよりも、一番始まりが遅かったカップルだ。だって付き合い始めの時の、俺の美和子ちゃんへの感情ときたら曖昧、そのもので。

――面白くて可愛いから、他のヤツには取られたくないなあー、あ、なら告白しちゃお。

それくらいの、ノリで、俺は美和子ちゃんに告白をしたのだ。木下さんを始めとする彼女溺愛会の皆様に聞かれたら、最低最悪だと罵られてもおかしく無いってくらいの始まりである。しかし、それからの俺は違う。そこから先は、美和子ちゃん溺愛街道まっしぐら。口を開けば美和子美和子の連呼だった。美和子ちゃんの名前を連呼するのも、初めは冗談半分だったのに、気付けばそれが長年の口癖のようになっていて、意識しなくてもぽろっと彼女の名前が出るようになった。
美和子ちゃんの事を心から、はっきりと好きだと言えるようになったのは、星人に出会ったのがきっかけ。フジコっちみたいなオカマ星人にあって、木下さんと一緒に戦うことになって、ようやく気づいた。俺はこの子を失いたくないって。笑っていて欲しい、泣かないで欲しい、――俺だけのものでいて欲しい、って。


ねえ、俺たちは結局キスの1つも出来なかったけれど、俺はきみが大好きだよ。
いつもはふざけて美和子ちゃんの可愛さを認めることが出来ない俺だけど、きみは世界で一番可愛い、俺だけの女の子なんだ。ノリが良くて、俺のちょっとした一言に照れて、怒って、幸せそうに笑うきみが愛しくて仕方ありません。

必ず迎えに行くから、その時までどうか俺のことを好きでいてね。
俺があげたあのネックウォーマーは、ずっときみのものだから。