ギャル


(By若漆たすく)


今でこそ愛されJKなたしゅくちゃんだけれども。悲しーことにイケてない時代があったわけよ。今風に言うと黒歴史ってゆーの?そんな感じで、丁度黒歴史の盛は中学の時だった。あの頃の私はセンコーに少しでも気に入られるようにって、校則をちゃあんと守ってた。きっちり二つ結いにした黒い髪、ボタンを一つも開けてないブラウス、膝こぞうががっつり隠れるながーいスカート、三つに折った白ソックス、地味な色合いのセーター。虚しくなるほど私はダサかった。今が可愛いもんだから昔の私は余計ダサく感じる。

中学生のたしゅくちゃんは生徒会の書記だった。クラスではセンコーに頼み込んで、いつも前の席だった。部活には入らなかった。学校が終わったら、だっさい制服のまま塾に行ってずっと勉強してた。休みの日にダチとプリ撮ったり服見に行ったりすることもなかった、ジャンクフードだって食べなかった。

(でも――受験には失敗した。)

必死になって勉強してた。必死になって校則を守った。でも私は頭が悪かった。ちっとも、頭に入って来なかった。

そっからぜーんぶどうでも良くなって。門限を守らないようになって、校則を破り始めて、髪を染めて、ピアスホールをあけて、ネイルして、デコって。愛されたしゅくちゃんの、出来上がり。まぁったくもってよくある話。

(今度は何色にしよぉ?)

茶パ、金パ、緑、赤、オレンジ、金パ、ピンク。どんな色だって似合うけれども、黒にだけは絶対戻さない。



(………枝毛さげぽよー、)

何色にしても、かわいくなれない