情けない男


(By山口圭介)

※解釈の仕方によってはぬるく下品。
またこの設定をチャットに持ち込む事はございません。


平馬はだらしない。

何がだらしないか、と聞かれればこれと理由を一つに絞れない程、彼は自由人である。自分のしたいことを、したい時に、したいだけする、自由気ままな――勝手な男なのだ。自分がこう動いたら、後でこうなる、なんて未来予想をちっともせずに、目先の好奇心だけでアクションを起こすのだから、平馬と一緒にいる俺はいつも被害をこうむって。平馬の問題行動のせいで、俺は何度教師や家族に怒られた事か。

――平馬といると、本当に疲れる。それでも俺が平馬の友達でいることは変わらないし、変えるつもりはない。自分の意思で、平馬の尻拭いだってなんだってする。





"私、横山くんの気持ちが分からない、…辛い。

……………なぐさめて、山口くん"




平馬の恋人を慰めたことがある。彼女が望む形で―平馬が、きっと悲しむ形で。それは非道徳的な行いだったと思う。自分でもどうして、あの時そうしたのかがわからない。その時の俺は、注ぎすぎてカップから零してしまったコーヒーの液体を布巾で拭うように―こうなることが当たり前だったかのように、惑うこと無く彼女に触れた。

その時に気付いたことがひとつだけ。
俺は友人の恋人に平気な顔をして深く関ろうとする、好きでも無い子に深く関わろうとする、最低な奴なんだってこと。