ふやけた皮膚を突き破る


(By野津菊子)


野津菊子は激怒した。なんだかよくわからないが家に帰るなりベッドの上でのたうちまわり、床へと頭をごんごんと打ち付けた。ごんごんごんごんたんすにごん。目の前をぴよぴよちかちか星とひよこがマラソン大会。

いや、別に私は怒っているわけじゃないんだが!!なんか混乱している。最初に仕掛けたのは私だがそれにしたってなんという。なんという!!訳も分からず憤慨しているとはたり、歯磨きをしていないことに気づいてベッドから飛び跳ねた。その際視界に入った、ローテーブルの上の犬っ子★ガムを手で払ってやった。パッケージにプリントされたぺろりと舌を出している犬が、今はどうしてか憎らしい。かわいそうな気もするが、むしゃくしゃしてやったんだ、後悔もしていなければ反省もしていない!!

洗面台にたつと、あの鋭い犬歯はもうなかった。最早チャームポイントとなりかけていたアレがないのは寂しい気がしたが問題ない。過去は振り返らない!!やっぱりなんでかむしゃくしゃして歯ブラシを口に突っ込むとその無機質な温度に違和感を感じる自分が居た。どういうことなの!!!酔っぱらいめ!!先に仕掛けたのは私だしもぐもぐしたのも私だけれど!ちょっと意地悪なんじゃないかい!!認知が必要だよ!!

彼はひょっとしたら慣れているのかもしれない、というか多分酔っぱらいのテンションだ。忘れているかもしれない。ていうかもしや夢?私だけがしっかり覚えているとかエロか!?私ってエロか!?妄想!?なら妄想の材料にしてごめんなさい!!!


title:指先