僕達ほど幸せなふたりはいない


(By横山平馬)


――お姫様の魔法をとくには、王子様のキスが必要だよ。

じゃあ俺は王子様じゃないのかな?それとも美和子ちゃんがお姫様じゃないのかな?そんなことない、俺は美和子ちゃんにとって格好良い王子様だし、美和子ちゃんは俺にとって、世界中の誰よりも可愛いお姫様だ。だから俺達にかかったのはきっと、魔法や呪いなんかじゃなくて、ちょっとした愛の試練。

最初はそりゃあ思ったさ。タイミングが掴めずにいるのなら、これをきっかけに、しめしめとキスをしちゃえばいいじゃないのと。俺の中に住まうブラック平馬が囁いたさ。けれどもう一匹の住人、カフェオレ平馬がダメダメそんなの、大事にするって決めたでしょう、焦らないって決めたでしょう、と慌てて間に入ってきた。ブラック平馬とカフェオレ平馬は似て非なる物である。いわば理性と本能のようなもので、俺が美和子ちゃんに悪戯とか仕掛けちゃおうかな?と思うとすかさず出てくるのだ。いよいよブラック平馬とカフェオレ平馬の討論が激しくなった頃、突然微糖平馬が現れた。美和子ちゃんはどう思ってるのかな?自分だけの考えで突っ走るのはよくないよ、そう言った。――俺はそのとおりだと思った。


結局、お姫様と王子さまの初ちゅーは延期になりました。だけれども、俺にとってそれは本望です。俺も男なので、むらむらしたりはするけれど、どこかで、俺が美和子ちゃんに触れるなんておこがましい!と思っていたりもするので、逆に好きすぎて手がでないのです。でも美和子ちゃんは、どうやら、そんな俺の心境をわかってくれたみたいだから、まあ俺達のペースでいいよね。





(今はただ、普通のツーショットを撮るので精一杯、)

俺は今日も、元気に美和子ちゃんと幸せやってます、まる


title:指先